日本テコンド−協会(JTA)
全日本大会などフルコンタクト・テコンド−  
組手試合1部・有段者の試合規則


全日本フルコンタクトテコンドー大会ルール一部改正説明会(重要)2006年2月

1、総則

1)日本テコンド−協会(以下JTA)の実施する「組手T部」は、現代の現状にあった定められた規則
  にもとづき、相手を尊重しながら勇敢に競技し礼に始まり礼に終わる武道の試合を目指す。

2)上段・中段への蹴りと中段への突きに限定した「フルコンタクト・テコンド−・ル−ル」とする。
  試合の勝敗は、「一本勝ち」「技有り2本勝ち」「技有り」を基準とする「技有り判定勝ち」
  と審判の心証による「優勢判定勝ち」「その他(反則負け、棄権など)」により決定される。

3)本規則は、「全日本テコンド−選手権大会」、「全日本ウェイト制テコンド−選手権大会」、
  関東大会などの「全日本テコンド−選手権大会出場選手選考会」、都道府県市連主催「一部組手
  試合」に適用される。


2、審判

1)主審1名、副審2名とする。

2)審判の権限と動作

@主審の権限と動作

a,主審は、「一本勝ち」と「技有り」を宣言できる。

b,主審は、ル−ルの「悪用」など武道家らしからぬ正々堂々の精神に反する試合行為に対して、
 「指導」を独自の判断で宣言・決定できる。それは、たとえば、試合前半に「技有り」を取った後、
 残りの試合時間消耗を露骨にはかり、何等攻撃をしない消極的姿勢に徹し、逃げたり(かわすのではない)、
 逃げ切ろうとする行為である。

c,主審は、「注意」「反則」「失格」を独自の判断で宣言・決定できる。

d,主審は、上記の宣言を行い、試合を一時的に中断させる。

 イ、「一本勝ち」「技有り」を宣言した場合、副審の同意を確認する。

ロ、「技有り」を宣言し、副審の同意を確認している際、打撃を受けた選手が、倒れたり、片膝を
   試合コ−トにつけたり、手を膝につけるなど予想以上に強いダメ−ジが認められる場合、
   または戦意喪失が認められる場合、主審は「技有り」から「一本勝ち」に変更できる。

A副審の同意権と動作
 主審の「一本勝ち」、「技有り」に関しては、副審2名の同意がなければならない

a,副審は、主審が宣言した「技有り」に同意する場合、旗を真横に上げる。

b,副審は、主審が宣言した「一本勝ち」に同意する場合、旗を斜め上に上げる。

c,副審は、主審が宣言した「一本勝ち」や「技有り」に対し、同意できない場合、または何らかの原因
 により選手の技が見えにくくなり、その同意に自信がもてない場合、旗を上段に交差させる。

 イ、主審の宣言した「一本勝ち」は取り消され。ただし、審議の上、「技有り」になる場合がある。

 ロ、主審の宣言した「技有り」は取り消される。審議は行わない。

3)「一本勝ち」や「技有り」がなければ判定となる。

@判定の際、主審と副審は同等の権限を有する。

A全日本大会の判定は、主審と副審の採点結果を司会が公表し、主審が勝者の手をあげるものとする。
  司会判定公表例)「主審A採点は、1R10対9、2R10対10で青・Z選手、
          副審B採点は、1R10対10、2R10対10でドロ−、
          副審C採点は、1R10対9,2R10対10で青・Z選手、
          よって2対0で青・Z選手が勝者となります」

B全日本大会以外の一部試合の判定は、主審と副審は一斉に旗を上げ勝者を決定し、
 または旗を下段に交差して引き分けを決定する。

4)判定に混乱が生じた場合、最高審判長が審判3名と協議し、ビデオなどによりその試合を確認し、
  適切かつ公平な対応をとる場合がある。その場合、「判定変更」や「再試合」もあり得る。


3、勝敗の基準

 当然のことながら選手には引退後の人生がある。ゆえに日常生活に支障をきたす高度後遺症(たとえば、
パンチドランカ−などの脳障害)を残さないために、下記の勝敗基準を定める。

1)「一本勝ち」
  定められた箇所(反則箇所を除く)への上段・中段蹴りと中段突きは、下記の場合、一本勝ちとなる。

@相手選手が3秒以上の間、ダウンした場合

A3秒以上の間、蹴りを受けた頭部・腹部に手を当てて痛がったり、片膝をマットにつけたり、
  前屈みになるなどのダメ−ジが認められる場合

B中段横蹴りなどにより、後方に吹っ飛んで、速やかに起きあがれない場合

Cその他、戦意喪失や実力差が著しいと主審が判断した場合

2)「技有り勝ち」
 「技有り」2本により「技有り合わせ一本勝ち」となり、「技有り」1つは勝利の基準となる。

 たとえば、定められた箇所(反則箇所を除く)への上段・中段蹴りにより、
@相手選手が3秒未満の間、ダウンした場合、蹴りを受けた腹部などに手を当てて痛がった場合

A3秒未満の間、蹴りを受けた腹部に手を当てて痛がったり、片膝をマットにつけたり、
  前屈みになるなどの打撃に対する瞬間的なダメ−ジが認められる場合

B正確な蹴りによって、相手選手が後方に吹っ飛んだり、尻餅をついたり、華麗な跳び蹴りが上段
  に当たった場合、主審が「技有り」を宣言し、副審2名が同意すれば「技有り」となる。

3)「優勢勝ち」
  双方が「技有り」1つを取っている場合、またはそれが無い場合は審判の心証により勝敗を判定する。

@全日本大会は上記(2−3−A)のとおり、採点公表制とする

A全日本大会以外の一部試合の判定基準は、「技有り」とはならなかった優れた蹴り技や、正確な突き、
  気合い十分な積極的な攻撃姿勢などであり、それを総合的に判断し、「優勢勝ち」を決定する。

4)「引き分け」

@全日本大会は上記(2−3−A)の採点公表制の結果、引き分けとなった場合、

A全日本大会以外の一部試合では、3名の審判中、旗が2本以上、上がらず「引き分け」となった
  場合、延長戦を行う。

5)「その他」

@主審は、注意4、反則2(注意2で反則1)、または審判や相手選手を侮辱する選手の言動など
  武道家らしからぬ試合態度に対し、厳しい態度でのぞみ失格を宣言できる。
  失格した選手は、その日から1年間、試合出場停止処分とする。

A主審は、実力差が著しいと認められる場合、TK0を宣言できる。

B棄権、ドクタ−ストップ、セコンドがタオルを投げた場合、放棄試合とする。

C主審は、審判や相手選手を侮辱・中傷する応援者に対し、退場を宣言する。


4、本戦・延長戦と体重判定

1)本戦

@本戦は2分とする

2)延長戦

@延長戦は1分とする。

A最大2回延長戦を行うことができる。
 ただし、決勝戦は試合内容にもとづく最高審判長の判断により、3回目の延長戦を行う場合がある。

B決着がつかない場合、体重判定とする。
  体重計には、選手が最後の試合を行った状態(各種防具やテ−ピンングを付けた状態)でのること。

イ)全日本大会無差別級は、5kg以上の差を有効とする体重判定を行う

ロ)全日本大会ウェイト制と全日本大会出場選手選考大会は、3kg以上の差を有効とする体重判定を行う

ハ)上記以外の一部試合は、体重測定の結果、少しでも軽い選手を勝者とする。

C体重差が無い場合、最後の延長戦(2分)を行う。その場合、3名の審判は、いずれかを勝者と
  認定しなければならない。


5、防具などの着用

1)JTA指定の防具を着用しなければならない。

@手と足の「テコンド−組手防具」、男子選手は「ファ−ルカップ」

Aヘッドギア−の着用について
イ)安全上「ヘッドギア−」の着用が望ましい。その場合、体重判定時にはそれを外すことができない。
  ただし、男子選手がそれを着用しないことを希望すれば、その意志を尊重する。

ロ)女子選手は「ヘッドギア−」を着用しなければならない。

2)その他防具

@すねや膝のサポ−タ−の着用は禁止しない(威力を増すための防具は不可。発覚次第失格とし、
  氏名を公表する)。

A手のバンデ−ジは禁止する。突きに重さが加わり、脳障害の原因となるため。

Bその他各種テ−ピングは許可制とする。試合当日、受付の際、大会主催者に届け出、許可を受けなけ
ればならない。試合進行時に新たにテ−ピングを加える場合もその都度、届け出・許可を受けなければ
ならない(外す場合は不要)。それをしない場合、発覚次第失格とする。

C体重判定時には、当該試合時に着用した防具やテ−ピングなどを外してはならない。
ただし、女子選手の「ヘッドギア−」は、はずすことができる。


6、反則

1)頭突き、突き、貫手、掌底、肘、膝などによる顔面強打。
  ただし、顎と額に限定した蹴り技を生かすための突きや牽制のための突きは禁止しない
  その場合であってもK0狙いの強打は禁止する。強打を行った選手が、有名であれ、無名であれ、
  優勝候補であれ、公正に反則負けを宣言する。

2)後頭部に対する攻撃

3)背中に対する攻撃

4)下段蹴り(ロ−キック)、足払い、急所蹴り、間接蹴りなどの下段(帯より下)への攻撃

5)投げ、つかみ、間接技など非打撃系格闘技の技

6)頭部を下げての各種攻撃(突きの突進連打など)

7)ル−ルの「悪用」など正々堂々の精神に反する行為(2−2−@−b参照)

8)「反則勝ち」の選手が、その後遺症により試合続行不能の場合、次の対戦相手の不戦勝となる。
  加害選手が代理出場してはならない。


7、ド−ピング検査

1)出場選手は、主催者側が実施する各種ド−ピング検査に全面的に協力しなければならない。
  検査方法は、主催者に一任し、宗教上の理由などにより拒否することはできない。
2)検査の結果、規定以上の数値が検出された場合、除名、長期試合出場停止、入賞の取消し、
  罰金などの厳罰処置を受けても、該当選手およびその関係者は意義を申したてることができない。


8、出場資格

1)テコンド−の有段者に限る。JTA、ITF、WTFなどを問わない。

2)オ−プン制。ITFやWTFなど所属団体を問わず公平な判定を保障する。
  ただし、試合後も友好関係を維持できる団体に所属していることを要する。ゆえにフリ−は不可。

3)テコンド−の専任に限る。空手や各種拳法などの兼業者は不可。これら打撃系武道の経験者は、
  テコンド−に完全転向していること。なぜならば、本会は「日本で一番強いフルコンタクト・
  テコンド−・チャンピオン」を決定することを志向しているからである。


9、階級

1)本会は日本で一番強い「フルコンタクト・テコンド−・チャンピオン」は1名で良い、と考える。
  ゆえに全日本大会は無差別級とする。
  ただし、将来、全日本大会ウェイト制を実施する予定である。

3)一部ウェイト制階級

@軽量級(60kg未満)

A中量級(60kg〜70kg未満)

B重量級(70kg以上)


10、その他

1)本規則に規程がない事態が生じた場合、宗師範が判断し、対処する。

2)試合を通じて本規則の不備な点が明らかにされた場合、理事会を通じて規程を見直すものとする。

3)本規則は2001年7月15日から施行する。

4)本規則は2002年7月15日一部改正した。


                                                 日本テコンド−協会  
                                                   会長  河 明生