日本テコンド−協会論文・小論文審査課題
1、昇級審査小論文課題(出題者/宗師範・河明生)
1)複数課題は選択制。(少年部・小学生課題については保護者が選択し平易に解説して下さい)。
2)枚数は400字詰め原稿用紙4枚程度、中学生と小学生高学年(4年生以上)は自筆で3枚程度、
それ以外の少年部は自筆で1枚程度。
3)各所属支部長・責任者・主将へ審査1週間前に事前提出(返却はしないのでコピ−をとること)
<現白帯・無級> テ−マ→日本テコンド−を修練する動機付け(モチベ−ション)
少年部課題「日本テコンド−を学ぶことの目標」
一般部課題「日本テコンド−入門の動機と抱負」
<現黄帯・7級> テ−マ→日本テコンド−七大精神・礼儀を重んじること
少年部選択課題
1)小学校3年生以下「れいぎは、どうしてたいせつなのでしょうか」
2)「儒教を日常生活のル−ルとして取り入れた日本人、韓国人、中国人は、人間と動物との違いの一つとして
礼儀礼節をあげました。
礼儀礼節を大切にしない人は、けだものといわれて軽蔑されたり、みんなから仲間はずれにされたり、
差別されました。どうしてでしょうか?考えてみましょう」
3)「いじめがどうしていけないのかを考えてみましょう」
一般部選択課題
1)「日本テコンド−協会の道場練習では、「押忍!」や「テコン!」の変わりに、「お願いします!」、
「ありがとうございました!」、「すみませんでした!」、の三つの社会性を帯びた言葉が繰り返し使用される。
入門初期から現在までの練習過程を振り返り、礼儀礼節についての自己評価を述べよ」
2)「昨今の礼儀礼節の衰退と凶悪・悪質犯罪との因果関係」
<現水帯・6級> テ−マ→日本テコンド−七大精神・信義を重んじること
少年部課題
1)小学校3年生以下「やくそくをまもることは、どうしてたいせつなのでしょうか」
2)「自分を育ててくれたり、可愛がってくれたり、お世話になった人を裏切ったり、約束を破ると
非難されます。どうしてでしょうか? 考えてみましょう」
一般部選択課題
1)「官庁、企業、武道団体などの信義にもとる不正や不祥事に対する所見」
2)「師、先輩、親友、友人、後輩との信義についての自己評価を述べよ」
<現緑帯・5級> テ−マ→日本テコンド−七大精神・克己の精神を涵養すること
少年部課題
1)小学校3年生以下「どりょくすることは、どうしてたいせつなのでしょうか」
2)「皆さんはどうして学校や塾に行き勉強するのでしょうか? また進学のための学力試験とは無縁な
テコンド−道場で何を学ぶべきかを考えてみましょう」
一般部選択課題
1)女性会員限定選択課題「現代の女性が武道・日本テコンド−を修得する意義」
2)「克己の精神の涵養についての自己評価を述べよ」
3)男性会員限定選択課題「町でいきなり見ず知らずの者に殴られそうになった時、あなたはどう対処するのか。
様々なパタ−ンを想定し、現代社会と自己防衛についての所見を述べよ」
<紫帯・4級> テ−マ→日本テコンド−七大精神・文武両道を志すこと
少年部課題
1)小学校3年生以下「べんきょうもテコンド−もがんばることは、どうしてたいせつなのでしょうか」
2)「文武両道という言葉の意味をしらべ、現在の自分が文武両道なのか否かを考えてみましょう」
一般部選択課題
1)「自己実現という概念がある。あなたは現在の自分に満足しているか。満足している、あるいは、不満足である、
とするならそれは何故か。文武両道についての自己評価」
2)「人生には限りがある。限られた時間をいかに有効に使うかは幸福や充実した人生の鍵といえよう。
幸せになれる人は限られた時間を自由に操り、そうでない人はそれに縛られる。文(社会人は職業)と
武(日本テコンド−)の二つの道の両立についての自己評価」
<青帯・3級> テ−マ→日本テコンド−協会七大精神「我々は、家族に感謝し、孝を心がけること
少年部課題
1)小学校3年生以下「おじいさん、おばあさん、おとうさん、おかあさん、せんせい、ともだちへのかんしゃのきもちを
もつことは、どうしてたいせつなのでしょうか」
2)「動物は人間とは異なり感謝の気持ちをもちません。その世界は弱肉強食です。たとえば、野生の群では
強いボスから食事を取り、弱いものはその残り物を食べますし、その強いボスも歳をとって弱くなると、
若くて強いものに殺されたり、群から追い出されます。しかし、立派な人は違います。強くて立派な人は
弱い人を助けます。普通の人でも、食事は子供を優先しますし、電車やバスなどでお年寄りに席を譲ります。
立派な人は自分を育ててくれた家族、先生、社会などへの感謝を忘れないので、孝行、慈善、奉仕を
行いたいと思います。そういう心がけをもつ人は、心が豊かで尊敬されます。感謝の気持ちについて考えてみましょう」
一般部選択課題
1)家族に感謝し、孝を心がけることについての自己評価
<赤帯・2級> テーマ→日本テコンドー協会七大精神
「我々は、社会に感謝し、公益を心がけること」 「我々は、神仏を尊び、奉仕の精神を忘れざること」
少年少女部(選択)
「大人も子供も、男性も女性も、頭の良い人も、身体が丈夫な人も
農民や漁師さんのように食べ物を提供してくれる人も、先生と呼ばれる人も
お金持ちやプロスポーツ選手・芸能人も、もちろん日本にたくさん住んでいる普通の仕事をもつ人達も、
人間は一人では絶対生きてはいけません。
だからこそ、みんなが自分に足りないところをおぎない助け合って生きているのです。
このように助け合っている人々の集合体を社会と呼びます。
それなのに、自分を育ててくれたはずの社会に感謝しない大人を見かけます。
こういう人は、<自分の実力だけで成功している>と勘違いしたり、
<自分や家族だけが良ければ良い>と考え、金を儲けるために悪いことを平気で行うようになるようです。
だから毎月のニュースで報道される犯罪者が後を絶たないのではないかと思います。
こういう人間は、たとえ金をたくさん持ち大きな家に住んでいようとも、心はまずしい、と言えるでしょう。
昔の日本人は、こういう<ろくでもない人間>を軽蔑(けいべつ)していました。
さて、みなさんは、これから成長して大人に成ってゆくのですが、
社会に感謝することについて、どのように考えているのでしょうか? あなたの考えを書いて下さい」
「世界の多くの人々は、宗教の教えを大切にしながら生活しています。
キリスト教徒(カソリックやプロテスタント諸派)やイスラム教徒(スンニ派やシーア派)、
ヒンズー教徒、ユダヤ教徒、仏教などが有名ですが、
それぞれが別々の神様や仏様を信じており、自分が信じる宗教の教えを毎日守って生活しています。
たとえば、アメリカ合衆国は、ヨーロッパでキリスト教カソリックから宗教弾圧を受けた
キリスト教プロテスタントを信じる人々が、宗教の自由を求めて移住して建国した国です。
その伝統は今でも強く残っています。
たとえば、大統領就任の宣誓は、アメリカ建国の父・ワシントンが大統領就任の時に宣誓した200年以上前
の聖書を使用していますし、アメリカのコイン(お金)には神様への祈りが書かれています。
宗教の良い面は、<死>についての恐怖を減らすことであり、人間の限界を知ることであり、
奉仕活動を人間の義務と考えることであり、
<他人が見ていなくとも神様・仏様が見ている>とか、
<良いことをすると天国に行ける>とか、<悪いことをすると地獄に堕ちる>と考えることから
悪いことをしようと思いついた時の抑止力(よくしりょく)になるようです。
しかし、宗教には良い面と悪い面があります。
日本の場合は、金儲けや権力等の自分の欲望のために宗教を利用する<ろくでもない人間>が目立つので、
世界に比べて宗教に対する信用が低いように思われます。
さて、みなさんは、これから成長して大人に成ってゆくのですが、
神仏についてどのように考えているのでしょうか? また奉仕についてどのように考えているのでしょうか?
あなたの考えを書いて下さい」
一般部(選択)
「我々は、社会に感謝し、公益を心がけること、についての自己評価」
「我々は、神仏を尊び、奉仕の精神を忘れざること、についての自己評価」
2、昇段審査論文課題(出題者/宗師範・河明生)
1)枚数は400字詰め原稿用紙10枚以上、正本1部、副本(コピ−可)1部。
2)各所属支部長・責任者・主将へ実技審査1週間前に事前提出
<茶帯・1級>初段昇段論文課題
「日本テコンド−の基礎理論」
<現初段>二段昇段論文課題
「最高裁62.3.26判決(昭和59年あ第1699号傷害致死事件−勘違い騎士道事件)について調べ、
正当防衛、誤想防衛、過剰防衛について論述し、日本テコンド−有段者としての所見を述べよ」
<事件概要−被害者男性Aは、女性Bらと飲食した。Aは酩酊したBを帰宅させようと店外に連れ出したが、
大声を出して暴れたBともみ合い状態になった。そこに日本語能力の低い空手三段の英国人男性Cが偶然通りかかった。
Cはコンクリ−ト路面に倒れたBを見て、AがBに暴行を加えているものと思いこみ、Bを助け起こそうとした。
酩酊しているBは「ヘルプミ−、ヘルプミ−」と叫んだため、Cは暴行を止めるようにという意味で両手を差し出しながらAに接近した。
ところがAは、ボクシングのファイティング・ポ−ズのようなを姿勢をとったため、Cは身の危険を感じ、右回し蹴りを蹴った。
その蹴りを受けたAは8日後に死亡した。Cは逮捕起訴され正当防衛を主張したが認められなかった>
参考文献
『別冊ジュリスト刑法判例百選T総論』
内田文昭「誤想防衛か過剰防衛か」(『判例タイムズ』550号所収)
大塚仁「誤想過剰防衛」(『刑法論集1』所収)
その他刑法の基本書
<現弐段>三段昇段論文審査
「武道を生涯の道と定めた場合、その究極的目標は、死生観の涵養であると考える。とすれば宗教の長所や短所を見極め、
その涵養の糧にすべきであろう。
宗教と武道の共通点と異同を論述し、その現代社会での望ましいあり方について述べよ」
参考文献(任意)
宮本武蔵『五輪書』
山本常朝(田代陳基)『葉隠』
『日本の名著 山鹿素行』
マックス・ウェバ−(大塚久雄訳)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
新渡戸稲造『武士道』
内村鑑三『余はいかにしてキリスト教徒となりしか』
<現参段> 四段論文審査課題
二つの架空の事例につき、次の三つの視点から比較論述せよ。
<事例1>Aは、Bが空手のチャンピオンと知りながら「勝負したい」と申し込んだ。
Bは、所属する空手団体での地位や立場もあり、再三再四、Aの申し込みを断った。
しかし、Aはおさまらず、Bを侮辱しながら、執拗に勝負を挑んだ。
さすがのBも堪忍袋の緒が切れたのか、次のような条件を提示した。
@自分の道場に入門し、
A「道場内での組手で大怪我や入院をしても刑事上および民事上の責任を追及しない」
という主旨の入門誓約書に記名し
B空手道義を購入し、着用した上で、
あくまで門下生に対する組手稽古の一環としてなら指導してもいい、とした。
すると、AはBの条件をすべてのみ、Bと「何でもありルールの組手」で対決した。
結果、Aは内臓破裂で入院した。
Aは、Bを暴行罪で警察に訴えると同時に民事裁判を起こし治療入院費と慰謝料等を請求した。
<事例2>Cは、おとなしい高校生だったが、大学進学と同時に空手部に入部した。
同大学空手道部は、さほど強い部ではなかったが、年配のOBが頻繁に指導に来る部だった。
また空手部員も全学年合わせて10名にも満たなかったため、その存亡が危ぶまれていた。
愛部心の強いOBとCら現役は危機感をもち、何とか部を存続させたいと努力していた。
やがてCは初段をとり、3年に進級すると同時に主将になった。
しかし、現役は7名前後となった。
Cは主将として現役部員達を叱咤激励しながら指導した。
ところが、指導に来るOBのDとうまが合わず、指導方針をめぐり意見が一致しなかった。
9ヶ月が過ぎ、Cの主将としての任期も実質的に1ヶ月となった。
同大学空手道部は、OBも参加する合同稽古を実施した。
その際、DはCの態度に激高し、Cの頬を平手打ちした。
Cは逆上し、Dの顔面に回し蹴りを蹴りこんでしまいDは死亡した。
@法律論(刑法および民法上の論点)、
A倫理道徳論(過去と現在との客観的な倫理道徳的差異の視点)
B自己の所見